調査によると、カンボジアに埋設された地雷は、300万から500百万個とも云われるが、1年で撤去処理(各国の支援等によりCMACシーマックを 中心に行われている)される地雷や不発弾は、最近でも2万個内外と云われ、全ての処理が完了するのは、100年以上かかるとさえ言われる状況にある。
こうした地に単身乗り込み、村人に地雷探査とその処理技術を教え、村人と共に地雷処理に邁進しているのが、小生の自衛隊の同期、高山良二氏である。彼の活動には、ただただ頭が下がる。
そ の彼が、前々から、「一度来てくれ」と声を掛けてくれていた。その声に応え、女房と一緒に訪問したのが一昨年の暮れ。その時の、カルチャーショックと村人 に触れての感動から、小学校の寄贈を決意した。完成したのが昨年の6月末。そして、その学校訪問を目的に今回の訪問となった。この事は、前回のブログで紹 介し、写真も添付したが、今日は少し時間があるので、この地と村人の生活風景も交えて、もう少し丁寧に紹介する事にする。
カンボジアは王国。通称カンボジアは、インドシナ半島に位置する東南アジアの立憲君主制国家。東にベトナム、西にタイ、北にラオスと国境を接し、南は南シナ海に接する。首都はプノンペン。国民の90%以上がクメール語(カンボジア語)を話し、仏教(上座部仏教)を奉ずるクメール人(カンボジア人)である。
行 政組織は、最小単位が村、村が数村集まりコミューン、コミューンが数地区で郡、郡が集まり州、州は25州ありカンボジア王国となっている。ところが、地区 により違いはあると思うが、村にもコミューンにも群にも行政官らしい人はいない。集会所的な建物はあり、村長、コミューン長、郡長は居るが、事務官らしい 常勤の人は居なく、集会所的な建物には1人、2人姿は見えるが、椅子があるだけで机はない。
州になると行政事務官は居るようであるが、 所謂、日本の市町村単位では行政官らしい人が居ないのである。また、警察組織は有り、警察署長も居るが、警察署的な建物は無く、常勤はしていない。タサエ ン村でお会いした警察署長は、昼間は農業に勤しみ、夜は私の友人、高山氏の宿舎警備にバイトで来ている。夕方6時から朝6時まで鉄砲を担いでハンモッグで 寝ている。
また、郵便局はない。従って郵便物は届かない。車は日本車ばかり、トヨタ、日産、ホンダ、マツダと相当走っているが、信号は 全くなく、常時クラクションを鳴らし走る。運転者は殆ど無免許、だって教習所もなければ試験場もない。バイクは非常に多く、小学生も普通に乗っているが、 勿論無免許で2人乗り、3人乗りが普通。牛も鶏も犬も放し飼い、隣近所を走り回っており、どれが隣の鶏でどれが自分家のか判らない。朝早くにコケコッコー と鳴いていた鶏が夕食の食卓に出てくることも。それも隣のか自分家のかよく分からない(高山に聞いてもよく判らないという)。
ところ が、男女関係はかなりキチッとしており、日本では当たり前となっている「出来ちゃった婚」など先ず無いと云う。結婚は基本婿入り。男が女の家に嫁ぐのが普 通である。そして、結婚式の後、10月10日すると大体は子供が生まれるという。だから子供は多い。パンツひとつで走り回っており、屈託がなくとんでもな く目がきれい。真黒な目が光り輝いている。正直この目には感動する。
宿舎の警備についてくれている警察官の小銃を借り、昔取った杵づかと気取ってみる。驚くなかれ、この小銃には実弾36発が入っているが、躊躇なくそれをそのまま貸してくれた。
現役の警察官
高山が雇っている地雷処理のスタッフ。隣は愛犬のビー、オス2歳。
地雷処理班が使用するCMACの車両。日本からの寄贈。
雨季(4月から10月)になると車両は走れない。